なんとなく覚えログ

テキストメモ的な覚えログです。技術的な情報を書いていきます。

オープンセミナー2017@岡山 参加レポ

okayama.open-seminar.org

岡山に最高のイベントという「オープンセミナー岡山」が今年も開催されたので参加してきました。

10時から18時まで9名の方が登壇された内容の濃いイベントでした。
テーマが身近なこともあり、個人的には近年でも上位に入る最高のイベントでした。
このレベルの話しが無料で聞けるというのは、ありがたいものです。

伝えたいこと

本当は、当日のライブ感を伝えたいのですが、私の文書力ではとても無理なので、 個人的に心に残った事柄を中心に執筆したいと思います。 少しでも興味が沸けば、来年は是非参加してみてください。 たくさんの気付きが得れると信じています。

岡山の技術系コミュニティ主催の似たようなイベントに合同勉強会というのもあります。 毎年12月頃開催されるので、こちらもチェックしてみてください。

gbdaitokai.connpass.com

テーマ「レガシーと戦え」

今回のテーマの説明を公式サイトより次に引用しときます。

昨今、SNSや技術系情報サイトを見ると毎日のように新しい技術が紹介されています。 しかし商習慣や組織、古いソースコードの問題で、新技術をすぐに活かすことができないもどかしさを感じたことは無いでしょうか? 新技術を採用するためには、レガシーを取り除いたりうまく付き合っていくことが重要です。 今回のイベントではそんなレガシーと闘ってきたチャレンジャーたちから選りすぐりのお話をお届けします。 参加者の皆さんが「月曜日からすぐに活かせる」と思っていただければ幸いです。

まとめサイト

まとめサイトがあるのでここを見ればなんとなく振り返ることができると思います。 ありがたいものです。

ツイート

資料

フォト

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レガシーコードの触り方

和田 卓人
タワーズ・クエスト株式会社 取締役社長、プログラマテスト駆動開発

レガシーコードはテストの無いコードと狭義の意味で定義し、システムを安全に変更および改善するための方法論を分かりやすくライブコーディングを交えて紹介されました。

speakerdeck.com

レガシーを解決する開発プロセス

角 俊和
NHNテコラス株式会社 執行役員

自社サービス開発における自社の問題をうまく成功させるために開発プロセスを改善したことをプロジェクトマネージメント的な観点を中心に赤裸々に紹介されました。

t.co

「上流のマネージメントをちゃんとやる」ってことがやっぱり大事だねって話しでした。 ここまでできていないなぁ~ってのが正直な感想でした。がんばろ。

キックオフ後に関係者全員集めて主要機能の仕様決め合宿っていう取り組みをされていたけど、これは面白いと感じました。

50年間の流通業の変化と、未来づくりのためのイノベーション

中山 博光
株式会社 リゾーム 代表取締役社長

ショッピングセンター業界に数々のITサービスを提供することでイノベーション(未来にある普通の物をつくる)を起こしてきた。そこには設立から27年が経過しているがベンチャーの心を忘れず常に挑戦する姿勢で取り組んでおり、感性、チャンスを受ける心構え、行動、人財が大事であることを説明されました。

イノベーションを起こすためには、アンテナを張り、強い思いを持ち、顧客目線で、失敗を恐れずチャレンジすること。あと、人財が重要で、一緒にやっていく仲間を信用することがうまくやってこれたと述べられたのが印象的でした。

最新ツールでレガシーをぶっ飛ばせ

山本 裕介
株式会社サムライズム 代表取締役社長

レガシーなコード、システムに打ち勝つために有用な海外のモダンなツールを紹介されました。その中で会場の反応も一番強く興味深かったのがGithubのソースレビューの仕組みをレガシー言い切った上で改善するツールとしてJetBrainsのUpsourceを紹介されたことでした。

紹介されたツールで覚えてるのを羅列しときます。

  • 統合開発環境
    • JetBrainsの各種IDE
  • CIツール
    • Atlassianのbamboo
  • 課題管理ツール
    • JetBrainsのYouTrack
    • AtlassianのJIRA
  • バージョン管理
    • Bitbucket
  • githubのコードレビュー効率化
    • Upsource

データベースリファクタリング

曽根 壮大
株式会社はてな セールスエンジニア

一般的にアプリケーションより寿命が長いといわれるデータベースですが、運用に乗ってしまうとリファクタリングは非常に難しいものとなります。しかし、そのままほっておくと次第に影響が大きくなり、手に負えないものとなってしまいます。データベースとどのように向き合っていくかについて紹介されました。

speakerdeck.com

データベースの問題となると思われるところが本当に修正が必要か判断するのは難しい。不吉な臭いを感じ取るためには、嗅覚を磨く必要がある。それには色々な設計や実装を見るのが良い。書籍「SQLアンチパターン」に掲載されていることは参考になる。  リファクタリングするには、データベースの特徴に合わせてテストとモニタリングをできるように事前準備する。 データベースのリファクタリングは長い期間で移行することになるので、変更前の状態を保持して変更前後両方参照できるようにしておくことが必要になる。 リファクタリングは一度に行わず、小さい変更を長いスパンで繰り返すことで影響範囲を狭くし切り分けやすくすることが大事。

未来のWebとレガシーな技術

阿部 正幸
株式会社KDDIウェブコミュニケーションズ コミュニケーション事業本部 エバンジェリストエバンジェリスト

めまぐるしく移り変わるWebの分野、ずっと先のことは分かりません。 しかし少し先に登場しそうなものについては、既に動き始めている出来事やニュースからある程度予測できます。 未来のWebでは、様々なことが言われていますが古くから存在する概念が取り入れられサービスが設計されることもあります。

阿部さんの会社では、未来のWebの一つとして、コンテンツ配信用のRESTfulなAPIサーバーを構築中です。 なぜREST APIが必要なのか、どのような技術の組み合わせで、構築しているかを紹介されました。

技術的負債と向き合う

伊藤 直也
株式会社一休 執行役員CTO

十数年の長い年月サービスを提供している事業では、当然のごとく技術的負債を抱えることとなります。

伊藤さんが一休の術顧問として2年、その後 CTO で1年の3年を通じ、どう一休のレガシーと向き合ったかについて紹介されました。

speakerdeck.com

エンジニアは、モダンな手法やツールを使って解決方法に注力を注ぐが、その前に問題を深く理解することが大事。本質を見極めないと根本的なことは解決されない。 一方、考えすぎてもダメで行動することで理解が進むこともある。要は「バランスが大事」ということです。

このバランス感をどう磨くか。考え深いところがありますね。

講演の中で、3冊ほど書籍を紹介された。 次に読む本に加えておこうと思います。

日経電子版 レガシーが教えてくれる危険なサイン

武市 大志
日本経済新聞社 アプリ開発プロダクトリーダー

日経電子版は、いくつかの基礎の上に立つ、建て増し旅館のようなものと捉えることができます。設計・開発、企画・デザイン、組織・働き方といった3つの基礎が古くなるとその上に立つアプリケーションにも悪影響がでる。基礎から見直しをかけることで改善した取り組みを紹介された。

speakerdeck.com

企業もインターネット中心のアーキテクチャにしよう

長谷川 秀樹
ハンズラボ株式会社 代表取締役社長

レガシーから脱却してどこにいくのだろうか。間違いなくインターネット技術を中心に企業のシステムを組み替えていく必要がある。今回は、東急ハンズ(小売業企業)のIT変革の事例を中心に、レガシーから脱却した事例を紹介されました。

東急ハンズのシステムを再構築する際のポイントは、だいたい次のようなことがあると説明された。

ポイント

  • 新しく作るものは方針に合わないものは採用しないことで少しづつ置き換える 色々な理由で直ぐに変えることのできないものはあるので少しづつ変えていった。
  • 販売チャネルに直接かかわらないシステムではROIとか無駄なことはしない 在庫管理システムみたいなのを変えたぐらいでは絶対ROIなんかわからない。所詮鉛筆舐めるだけ。
  • 長期の詳細スケジュールは立てない 明日のことはわかるが、1年後はわからない。
  • 夜間バッチは無くす 早くするとか考えても、色々な理由により成し遂げれない。無くすという方針がよい。エンジニアの負担がかなり少なくなる。
  • ベンダーロックインは無くす 付き合いが長くなると、どうしても手抜きが出てくる。 クラウドはそんなことはない。
  • 机上の検討は長くしない スモールスタートして試す期間を長くする。 〇×△表とか作成して比較しても思惟的なので意味がない。
  • 委託契約はやめる。(準委任契約で)

まとめ

レガシーと戦うには、それなりの覚悟が必要だと思う。でも、それだけの価値はあると思う。 基本的にクリエイティブな仕事は楽しいので、普段の仕事が少しでも楽しくなるように出来たらいいなぁと思う今日この頃です。